終活のコラム
「身寄りが無い方」「金銭的な余裕がない方」の死後事務について
「身寄りが無い方」「金銭的な余裕がない方」の死後事務について
今回は、「身寄りが無い方」「金銭的な余裕がない方」が死後の備えを何もしていないとどうなるのか?
についてご説明いたします。
【身寄りがない方】
Q.身寄りがない方が自宅で孤立死した場合、ご自分の遺体はどうなる?
近年増加している高齢者の「孤独死」のケースですと、まずは警察によって死亡に事件性がないかの調査をされた後に、
遺族等の有無について調査が行われ、遺族がいる場合は引き渡しをされます。
◆ 遺族がいないことが判明されれば、自治体にて民生葬として直葬などで火葬されることとなります。
単に身寄りが無いといっても、それは亡くなった状況から判断しているだけで、実際にはお子様やご兄妹がいるかもしれないので自治体ではそうした方がいる可能性を考慮し、いったん警察や葬儀社の遺体安置室にてご遺体を安置し、その間に相続人や親族を探すこととなります。
親族がすぐに見つかり、遺体を引き受けてくれれば問題ありませんが、親族間でトラブルなどが起きたりすると、
決着がつくまで遺体は安置室等に置かれたままになってしまい、場合によっては死後1年近く安置されているようなケースもあります。
Q. 遺品整理は誰が行ってくれるのか?
実際に死後の備えを何もしていなければ、大家さんをはじめ水光熱業者や電話会社などに多大な迷惑をかけることになります。
身寄りの無い方のケースですと、親族がいない又はいても協力を仰げないといった状況が多く、遺品整理の手配や費用の捻出などは期待できません。
こうした場合は、
◆ 大家さんや管理会社がによって室内の明渡し手続きを行ったり、入居者が孤独死した場合や、家賃を滞納した場合に備えて保険や保証会社と提携しているケースもありますので、そうした制度を利用しながら、室内の家財を整理していくこととなります。
ただし、これは大家さん側としてはなんのメリットもなく、できれば避けたい状況でもありますので、
万が一に備えて、生前にご自身で遺品整理等を行い、部屋の明渡しをしてくれる方を決めておくのが最善です。
※ いずれにしても、自治体で行う死後事務は最低限の物だけであり、遺品整理や財産整理などは一切おこなってくれません。
【金銭的な余裕がない方】
Q.生活保護を受けている場合などは自治体で死後事務を行ってくれる?
上述の通り、国や地方自治体は身寄りの無い方の火葬はしてくれますが、死後事務までは行ってくれません。
〇 生活保護を受けている方ができる事前の準備
生活保護を受けている方は日々の暮らしだけでギリギリという事もあり、身元保証契約や死後事務などを
第三者に依頼したくても費用を捻出できないということが考えられます。
しかしだからといって、何もできないという訳でもありません。
生活保護を受けているご本人が何も準備せずに亡くなってしまうと、賃貸物件の大家さんは故人の荷物を勝手には処分できません。
なぜなら相続人がいるかもしれませんし、相続人がいない場合でも本来は相続財産管理人の選任申請を裁判所に行った上で手続きを進めていくのが本来の道筋ですので、遺品整理が完了するまでに多大な労力と時間、費用を費やすこととなってしまいます。
それゆえ、事前にご本人と大家さんとの間で[念書]や[合意書]のような簡単なものでも構いませんので、
◆ 『入居者が亡くなった場合は、入居者の家財処分を大家に一任する。』との文章を一筆差し入れておくだけで、
家主側としては正当な権利のもとで遺品整理を行うことができるようになります。
処分費用などは大家さんの持ち出しになってしまうかもしれませんが、次の募集までの期間を短くすることが可能となり、難しい手続きで頭を悩ます必要がなくなるだけでも大家さんにとっては助けになります。
また、日常の生活でゴミを溜めずに掃除も適度に行っておくことだけでも家主の負担はぐっと下がります。
できる範囲での準備を心掛けましょう。
Q.身寄りなしの生活保護受給者の葬儀は誰が行う?
親族が特定できる場合であれば、親族に依頼することになりますが、そうではないケースもあります。
〇 自治体が火葬と埋葬を行う
身寄りがない人の葬儀は、役所で故人の戸籍などの情報から親族を探し、その親族に引き取りを依頼することが一般的です。
親族や引き取り手が見つからない場合は、自治体によって火葬や埋葬を行います。
※ 日本の法律で火葬と埋葬を行うことが義務付けられているため、一切葬儀が行われないということはありません。
・ 通常の葬式よりも簡素な方法で行われます。
・ 一定期間を過ぎた後も引き取り手がいない場合、無縁塚にて納骨(埋葬)が行われます。
★ 無縁塚とは、引き取り手がいない人の遺骨を納骨する場所です。他の人の遺骨とまとめて納骨されることが特徴です。
そのため、無縁塚に納骨された場合、その後引き取りたいという場合でも、遺骨は出せません。
〇 身寄りなしの生活保護受給者の葬儀費用
身寄りのない生活保護受給者の葬儀費用は故人の財産を使用することが一般的です。
しかし、生活保護受給者でその条件を満たす人はまれでしょう。
そのような場合に利用できるのが、『葬祭扶助制度』です。
★ 葬祭扶助は生活保護制度の一種で、生活保護を受給していて金銭的な余裕が無い方が亡くなり、その方の遺族も生活保護を受けていて葬儀費用を捻出することができない場合に申請することが可能です。
また、生活保護を受けていて金銭的な余裕が無い方の葬儀を、遺族以外の方が行うというケースでも申請することができます。
支給額は大人209,000円以内、子ども(12歳未満) 167,200円以内が基準となりますが、自治体によって異なります。
葬祭扶助制度を利用することで、最低限の葬儀を行うのに必要な費用を受給できます。
地域や親族の人の生活状況によって受給額が変わるので、当制度の利用については予め相談することをおすすめします。
(葬祭扶助制度は利用するための条件)
・遺族や親族以外の人が引き取り手になった場合
・遺族や親族の人が引き取り手になったが、生活に困窮し、葬儀費用が賄えない場合
(葬祭扶助の制度によって受給できる費用)
・遺体検案書や死亡診断書などの作成費用
・遺体の搬送費用
・遺体の保存時に必要な費用(遺体を安置するためのドライアイスや場所を借りるための費用)
・棺
・火葬料金
・骨壺
(注)以下の項目は適用できません。
・読経
・お布施
・祭壇に飾るお花
葬祭扶助制度は、あくまでも最低限度の環境を整えるための制度です。
「式場を用意したり読経を依頼したりできるのであれば、火葬料金も支払えるだろう」と認識されます。
豪華な式を実現するためのものではないことを理解しておきましょう。
また、適用される項目すべての料金をまかなえるわけではありません。
生活状況によって受給できる項目が限られるため、用意できるお金があれば事前に備えておくと安心です。
〇 葬祭扶助制度の適用手続き
1.申請する人の住民票がある自治体の福祉事務所へ申請します
福祉事務所で扶助の申請をします。 ※ 亡くなった方の地域ではなく、申請する遺族や親族が住んでいる管轄で申請します。
自治体の役所に足を運べない場合は、ケースワーカーや民生委員に連絡しても問題ありません。
2.葬祭扶助の受給が認められるようであれば、葬儀社に連絡します
このとき「扶助制度を利用して葬儀を行いたい」ときちんと伝えておくことが大切です。
福祉事務所やケースワーカーとの連携を怠ると、受給できないとわかったときにトラブルに発展する可能性もあります。
3.搬送と安置
福祉事務所と葬儀社に連絡したあとは、遺体を安置する場所へ搬送してもらいます。
4.葬儀の打ち合わせ
葬儀社と具体的な打ち合わせを行います。(葬儀と火葬を行う日付と時間など、重要な項目が多数あるためスケジュールの確認もしっかり行いましょう。)
生活保護の葬儀では希望をすべて叶えることはできません。扶助として受給できる金額内で済ませる必要がある点を理解することが大切です。
5.火葬と収骨
収骨まで問題なく終えると、終了です。(注)「納骨」に関する費用は含まれません。
※「葬儀の代金」については特別な手続きは必要ありません。代金は、葬儀社から利用者を介さず福祉事務所に請求されます。
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